現在、奈良国立博物館では2月4日より特別陳列「お水取り」の開催中です。
関西の人にとっては最も待ち遠しい春を告げる行事が「お水取り」です。
お水取りの期間にたまに暖かい日があっても「お水取り」が済むまでは油断できない。明治の大阪生まれの祖母は「お水取りの行がきびしいとみえて、今日はえろう冷えますなぁ」などと言っていました。
「お水取り」の間の寒気は、豊年の兆しと考えられ、練行衆の行が厳しいと豊作になると考えられていたようです。
お水取りとは、正式には「東大寺二月堂修二会(しゅにえ)」「十一面観音悔過会(けかえ)」と言い。奈良・東大寺の二月堂で行われる仏教法会です。
お水取りの練行衆の本行は現在3月1日から14日までおこなわれ、本尊の十一面観音の前でご宝号を唱え、厳しい苦行によって日本人全体、この世の中の罪や穢れをはらい、懺悔し、あわせて天下安穏などを祈願します。またお水取りの本行に入るまでの2月20日より別火坊で身を清める潔斎生活を送り精進します。
お水取りの重要な儀式となる8、9日の「牛王日」、そして12日未明に境内閼伽井屋で「若狭井(閼伽井)」より香水を汲み出され、二月堂須弥壇下の香水壺の納められて、十一面観音に供えられます。そしてメインイベントの12・13・14日夜、「陀達(だったん)」のお松明が灯されて二月堂の二月堂の内陣、礼堂を足踏みの音高らかにに(陀達)、松明を担ぎながら躍動的に走り回ります。
火と水の力によって穢れをはらい、厄を除くのだと言われています。
松尾芭蕉の名句に「水取や こもりの僧の 沓の音」と練行衆の激しい「走りの行法」の有様をうたっています。
お水取り(修二会)は、天平勝宝4年(752)に東大寺の実忠和尚(じっちゅうかしょう)が初めて十一面悔過を執行して以来、一度も絶えることなく不退の行法として1270年にわたって勤め続けられてきました。
本展は、毎年、東大寺でお水取りが行われるこの時季にあわせて開催される恒例の企画です。実際に法会で用いられた法具や、歴史と伝統を伝える絵画、古文書、出土品などを展示し、お水取りに対する理解を深める一助になる企画展示です。
これらには東大寺の古い歴史が脈々と刻み込まれています。
ぜひお水取りに合わせてご覧になりませんか?
【開催概要】
展覧会名:特別陳列 お水取り
会 期:令和5年(2023)2月4日(土)~令和5年(2023)3月19日(日)
会 場:奈良国立博物館 東新館(奈良市登大路町50)
休 館 日:2月6日(月)・20日(月)・27日(月)
開館時間:午前9時30分~午後5時(毎週土曜日は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
※東大寺二月堂お水取り(修二会)期間(3月1日~14日中、3月12日(籠松明の日)は午後7時まで、土曜日以外は午後6時まで
※その他、臨時に開館時間を変更することがあります。
観覧料金:一般 700円 大学生350円
※高校生以下および18歳未満の方、満70歳以上の方、障害者手帳またはミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
※高校生以下及び18歳未満の方と一緒に観覧される方は、一般100円引き、大学生50円引きです(親子割引)。
※この観覧料金で、同時期開催の名品展「珠玉の仏教美術」・「珠玉の仏たち」、2月21日(火)より特集展示「新たに修理された文化財」をご覧になれます。
主催 :奈良国立博物館、NHK奈良放送局、仏教美術協会
お問合せ:050-5542-8600(ハローダイヤル)
奈良国立博物館公式ホームページ: https://www.narahaku.go.jp